九の色、九の襞

JR四国宇和島運転区詰所/愛媛/2021

九島(くしま)は愛媛県宇和島市に属し、宇和島港の西3Km程に位置する離島。2016年に九島大橋が開通し、宇和島市内から車で10分程でアクセスできるようになったが、島独特の風景や豊饒で緩慢な時間の流れはいまだ失われてはいない。島の主な産業は、山間部でのみかんをはじめとした柑橘類の栽培と、沿岸部でのハマチ・タイ・ヒラメなどの魚と真珠の養殖。印象的な九島の風景として、漁船の立ち並ぶ港沿いの道路端に、様々な色合いの漁網の山が、周囲の山陰と相似的に連なっているのが特徴的だ。

漁師たちが無造作にかたちづくった漁網の山々の表面は、潮で洗われ色褪せた網が層を成し、陸の重力に比して幾重にも襞を重ね、地面と水面の間を行き来するその山の肌は時に無機的にも有機的にもみえる。